言語の習得にはどれくらい時間がかかるか

言語の習得にはどれくらい時間がかかるか

これは、あらゆる言語学習において最もよく尋ねられる質問の一つです。

自分がどれだけの労力を捧げることになるのか、誰もが事前に知りたいと思うものです。

「言語を習得するのにどれくらい時間がかかるか」を考える方法はいくつかあります。しかし、圧倒的に最も正確で実用的な測定基準は、「流暢さに到達するまでの総学習・努力時間」です。

このシンプルな表現にさえいくつかの疑問点(流暢さとは何か?何をもって学習努力の1時間とするのか?)はありますが、それでも知っておく価値が非常に高い数字です。

この記事では、これらの数字の持つニュアンスと、それがあなた自身と学習対象言語にとって何を意味するのかを読み解いていきます。

言語の違いは極めて重要

言語の習得にかかる総時間を割り出す際に直面する最初のハードルは、言語によって、また人によって必要な時間が全く異なるという点です。

最も重要な要因は言語の距離(Language distance)です。要するに、あなたの母国語(またはすでに話せる他の言語)と学習対象言語がどれくらい異なっているかということです。言語の難易度分類(Categories of Language Difficulty)

母国語がスペイン語の人にとって、イタリア語はオランダ語よりもはるかに簡単です。イタリア語とスペイン語は膨大な量の語彙、文法、さらには発音まで共有しています。しかし、スペイン語とオランダ語には共通点がほんの少ししかありません。

そこで、母国語とどれくらい離れているかに応じて、言語を大まかに4つのグループに分類します。Refoldは英語圏発祥のコミュニティであるため、これらの計算では母国語を英語として設定しています。しかし、母国語が異なる場合、この表の見え方は大きく変わります。

類似言語(Similar languages): 多くの共通点を持つ言語。言語学的な共通の祖先を持ち、かなりの量の語彙を共有し、文構造も似ている場合があります。

遠隔言語(Distant languages): 本質的に共通点が何もない言語。(世界の英語の影響による)いくつかの借用語があるかもしれませんが、それ以外には共通点がありません。また、声調(トーン)など著しく異なる特徴を持つことも多く、習得により長い時間がかかります。

いとこ言語(Cousin languages): 互いに極めて近い関係にある、ごく少数の言語グループです。これらの言語は語彙の50%以上(多くはそれ以上)を共有し、文構造や文法機能も酷似しています。
例えば、ロマンス諸語(スペイン語、カタロニア語、イタリア語、フランス語、ポルトガル語など)やスラヴ諸語(ロシア語、ウクライナ語、ポーランド語、チェコ語、スロバキア語など)がこれに該当します。

その他のすべての言語(All other languages): 中間に位置するカテゴリです。母国語から極端に遠いわけでも近いわけでもなく、習得には標準的な時間が必要です。

英語を母国語とした場合の言語の距離の例(世界には7,000以上の言語があるため、これは網羅的なリストではありません):

いとこ言語 (Cousin) 類似言語 (Similar) その他すべての言語 (Other) 遠隔言語 (Distant)
スコットランド語 (Scots) スペイン語 ロシア語 日本語
フリジア語 (Frisian) フランス語 ヒンディー語 中国語(標準中国語)
ドイツ語 インドネシア語 韓国語
オランダ語 ギリシャ語 アラビア語(各種方言含む)
チェロキー語
など

そして、スペイン語ネイティブの場合、この表は次のようになります:

いとこ言語 (Cousin) 類似言語 (Similar) その他すべての言語 (Other) 遠隔言語 (Distant)
イタリア語 英語 ロシア語 日本語
ポルトガル語 オランダ語 ヒンディー語 中国語(標準中国語)
フランス語 ドイツ語 インドネシア語 韓国語
カタロニア語 ギリシャ語 アラビア語(各種方言含む)
チェロキー語
など

ここでいう「言語の距離」は、完全に客観的・数学的な測定を目指したものではないことに留意してください。どの言語ペアにも固有のニュアンスの違いがあります。しかし、習得にかかる時間を算出するためには、こうした大まかなグループ分けが不可欠です。

あなた自身の経験は?

学習スピードを左右するもう一つの大きな要因は、あなた自身です!母国語だけでなく、これまでにどれだけ語学学習の経験があるかも大きく関わります。過去に他の言語を習得したことがありますか?それとも、今の言語を10年前に一度挫折した経験があるでしょうか?

これらすべての要素を考慮することが大切です。

大人になってからすでに2つの外国語を身につけた経験があるなら、たとえ非常に遠い言語であっても、3つ目の言語の習得ははるかに楽になります。自分に合った学習プロセスをすでに理解しており、多くの落とし穴を経験して乗り越えているからです。

しかし、これが初めての外国語であるなら、言語そのものを学びながら、自分に合った学習方法の手探りも同時に進めることになります。

だからこそ、将来的に複数の言語を学ぶ計画があるなら、最初は母国語により近い言語から学ぶことをお勧めしています。次のような質問を私たちは常に受けています:

「こんにちは!語学学習の初心者です。スペイン語と日本語を学びたいのですが、英語ネイティブの私はどちらを先に学ぶべきでしょうか?」

もし本当に両方を学びたいのであれば、スペイン語から始めることで素早く上達を実感でき、自分自身の学習スタイルやプロセスを確立できます。そして、日本語に専念する準備ができたときには、すでに経験豊富な学習者になっているのです。

もう一つの重要な要素は、現在の学習対象言語と関連のある言語を学んだ経験があるかどうかです。スペイン語に堪能な英語ネイティブは、英語しか話せない人よりもイタリア語の習得がはるかに容易になります(前節で説明した通りです)。

あなたのゴールは何か?

具体的な時間数の見積もりに入る前に触れておくべき最後の、そして極めて重要な要素は、その言語における個人の目標です。

完全に流暢になり、その国に移住して母国語をほとんど使わずに生活したいのであれば、旅行先で市場の店員と世間話をし、困らない程度に行動できればよいという人とは、必要な時間数が根本から異なります。

どちらの目標も素晴らしいものであり、優劣はありません!人それぞれ、言語を学ぶ理由は全く異なるからです。

以下の時間見積もりでは、いわゆる「機能的流暢さ(Functional Fluency)」に到達することをゴールと仮定しています。これは、学習対象言語で快適に日常生活を送ることができるレベルを指します。機能的流暢さ(Functional Fluency)

つまり、メディアをかなり容易に理解でき、ある程度知識のあるトピックについて会話を交わし、問題なくコミュニケーションが取れる状態です。ただし、この段階でも依然として外国人らしい響きが残り、間違いもたくさんします。

あなたの目標がこれより高いか低いかに応じて、数字を調整してください。日常的な世間話(スモールトーク)を快適にこなすだけでよいなら、機能的流暢さの見積もりの約50%が目安になります。大学に進学したり、その言語が使われている国へ移住したい場合は、数字を1.5倍に増やして考えてください。

必要総時間の見積もり

お待たせしました。ここからが具体的な数字です。もし上の解説を読まずにここまでスクロールしたなら、これらの数字を正しく理解するための重要なニュアンスを見落としています。

最後にもう一度念押ししておきます:これらの数字は、語学学習の計画を立てるための目安(見積もり)です。

機能的流暢さに到達するまでにかかる時間:

  • いとこ言語(Cousin language):800時間
  • 類似言語(Similar language):1,350時間
  • その他の言語(Other language):1,700時間
  • 遠隔言語(Distant language):2,700時間

途方もなく大きな数字に見えますね!そして、例えば「500時間経過した時点でどのレベルに達しているか」という細かな経過もこれだけでは見えてきません。そこで、Refoldメソッドの各フェーズを完了するのに大体どれくらいの時間がかかるかを示した、より詳細な表を用意しました。

最初の数字はそのフェーズ単体を完了するのにかかる時間、2番目の数字はそのフェーズ終了時点での累計総学習時間の見積もりです。

フェーズ 類似言語 (単体) 類似言語 (累計) その他 (単体) その他 (累計) 遠隔言語 (単体) 遠隔言語 (累計)
1: 基礎 (Foundations) 75 75 100 100 150 200
2: 理解 (Comprehension) 375 450 400 500 600 750
3: リスニング (Listening) 300 750 400 900 750 1,500
4: スピーキング (Speaking) 150 900 200 1,100 300 1,800

「いとこ言語」の大まかな目安を出すには、類似言語の時間に0.6を掛けてください。

「その先へ(And Beyond)」フェーズには数字が記載されていません。なぜなら、その学びは永遠に続くからです!機能的流暢さに達した後は、その言語を完全に手放さない限り、一生涯にわたって学び続けることになります。

いくつか例を見てみましょう。

あなたが英語ネイティブでドイツ語を学んでいるとします。これは「類似言語」です。機能的流暢さまで求めておらず、日常会話ができれば十分だとします。そのため、スピーキング・フェーズの修了(大体「日常会話・スモールトークができる流暢さ」に相当)を目標にします。あなたの目指す目標はドイツ語での学習「900時間」です。

もしあなたが英語ネイティブで日本語を学んでおり、目標が機能的流暢さを超えた高みにある場合、約3,500時間を一つの目安とし、そこからさらに学習を続けていくことになります。

ただし、最初からその途方もない最終目標の数字ばかり見つめないでください!

「楽しさの境界線(ファン・スレッショルド)」への到達を目指す

代わりに、「楽しさの境界線(Fun Threshold)」に到達することに焦点を当てましょう。これは、学習が「勉強」のように感じられなくなる地点のことです。言語力が一定レベルに達し、イマージョンや日々のインプット自体が純粋に楽しく、心から楽しみに思えるようになる転換点です。

この「楽しさの境界線」は、機能的流暢さの見積もり時間の約20%の地点で訪れます。

ロシア語で流暢になるのに1,700時間かかることばかり考えて途方に暮れる必要はありません。まずは340時間に到達することだけに集中してください。

各言語で「楽しさの境界線」に到達するまでの時間:

  • いとこ言語:160時間
  • 類似言語:270時間
  • その他の言語:340時間
  • 遠隔言語:540時間

もし1日2時間学習したとすると(これはなかなかの量ですが、生活の中に上手く組み込めば十分達成可能です)、「楽しさの境界線」までの所要期間は以下のようになります:

  • いとこ言語:約3ヶ月
  • 類似言語:約4.5ヶ月
  • その他の言語:約6ヶ月
  • 遠隔言語:約9ヶ月

一度その言語を楽しめるようになれば、もう二度と学ぶのをやめたくなくなります!

急がば回れ(着実な歩みが最後に勝つ)

言語学習は短距離走ではありません。数ヶ月の間に2,000時間を無理やり詰め込むことは不可能です。1日が24時間しかないというだけでなく、人間の脳は1日に数時間以上の新しい言語を効率的に吸収することができないからです。本当の限界値がどこにあるかは分かっていませんが、1日5時間を超えると学習効果は低下し始めます。

ゆっくりと、着実に進めるアプローチの方がはるかに優れています。毎日無理なく継続できる言語学習のルーティンを確立することに全力を注ぎましょう。習慣の健全性(Habit Health)

人が語学学習で挫折する最も一般的な原因はバーンアウト(燃え尽き症候群)です。最初の1週間や1ヶ月は信じられないほど気合を入れて勉強するものの、やがてキャパシティを超えてしまい、すべてが崩壊してしまうのです。

最初は1日45分から始めましょう。それが定着したら1時間に増やします。そして1時間半へ。そうすれば気づかないうちに、毎日無理なく2時間近く学習できるようになっているはずです!

これらの数字の根拠はどこから来ているのか?

言語学習の所要時間として最も一般的に引用されるデータは、アメリカ合衆国国務省の外国語研修機関であるFSI(Foreign Service Institute)のものです。FSIは米国の外交官に外国語を教える機関であり、語学教育において膨大な実績と知見を持っています。

FSIは難易度に応じて言語を4つのカテゴリに分類し(Refoldの分類とは多少異なります)、学習者がILRスケールのレベル3(職業的実務レベル)に達するまでに必要な時間の見積もりを提示しています。

彼らの見積もりは、必要な「週数」と「授業時間数」で表されます。カリキュラムが標準化されており、受講生がフルタイムで学習に専従しているためです。

FSIの時間見積もりは、ネット上で誤って引用されることが非常に多いです。彼らのウェブサイトに掲載されている数字は授業時間(教室での指導時間)のみだからです。しかし実際には、受講生は毎週ほぼ同等時間の自習を行うことが求められています。

典型的なスケジュールは、週23時間の授業+週17時間の自習です。つまり、受講生は週に40時間学習しており、これはフルタイムの仕事と同じです。

FSIのこれらの見積もりは非常に優れたものであり、私たちRefoldも言語習得時間について語る際、長い間これを参考に利用してきました。

しかし、この数値はイマージョン学習やRefoldメソッドの実態と完全に一致するわけではありません。

最大の違いは、イマージョン学習の仕組みが根本的に異なる点にあります。FSIのコースでは、言語に触れる時間の約60%が教室内で費やされます。これは明示的な文法ルールの学習や教科書を進めるのには最適ですが、集中した対話的・能動的なイマージョン時間とは質が異なります。

人間の脳がイマージョン学習から言語を習得するメカニズムは、教室での学習とは大きく異なります。私たちのコミュニティの学習者は、より難易度の高い言語(FSIのカテゴリ3や4、Refoldでいう遠隔言語)において、FSIの基準よりもやや早く進歩する傾向が見られます。

もう一つの主な違いは、言語のグループ分けの違いです。Refoldでは最も難易度の低いカテゴリとして「いとこ言語」を追加しています(英語には近縁の言語が実質的に存在しないため、FSIにはこのカテゴリがありません)。また、カテゴリ2の一部の言語の配置も見直しています。例えばドイツ語は、教室で学ぶと難しく感じられがちですが、イマージョンを通じて学ぶ場合はそこまで難しくありません。

私たちの所要時間見積もりは、FSIの何十年にもわたる指導実績を土台としつつ、7万人以上の学習者を擁するRefoldのイマージョン学習コミュニティの実体験に合わせて調整したものです。

また、「フェーズ別」の時間配分は、複数の学習者の経験と私たちの精緻な推計に基づいています。初期の4ステージ制から現在の7フェーズ制へと発展させた際、コミュニティの学習者がどこに最も時間を費やしているかを分析して割り出しました。

Refoldアプリを通じて得られる言語学習のデータが増えるにつれて、必要に応じてこれらの数値を随時更新していく予定です。Refoldアプリ(The Refold App) 努力と時間の記録(Effort and Time Tracking)